5/28 めのまえ（1/2）

夢の中を取り巻く暖かな光は

とても
とても哀しそうで

何だか哀しみがうつったような気持ちになってしまって

痛みに引きずられて浮かび上がる意識は

随分長いこと夢の中を彷徨っていたような
ほんの一瞬でしかなかったような


それでも目を開ければ
現実はそれ以上の理不尽な速度で私に何かを迫った。



「……！！」

かふ、と咳き込んだ吐息には傷口の味がして

細く　細く開けた瞳に映ったのは傷よりもなお痛い




「何で…！？」



勢いだけで半身を起こし、目の前の顔を凝視する。




ちかよって　こないで



「こんな…優しくせんと！！」



ちかづいたら　はなれがたいから



「怒っとんのやったら…嫌いになったんならそう言うてよ！」



はなれたら　くるしいのをしっているから



「もう要らんのや…」



そんなくるしみを　おまえにもらうくらいなら



「どうせ離れて行くんやったら最初から要らん…ほっといて…！！」





嘘だというには切実で
真実として扱うには哀しい言葉

嘯いて
欺いて
振り向いて。