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(株)トミーウォーカー運営PBW「シルバーレイン」のどこかでうろうろしている高校生 浦雪坤 の色々。
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じゃあねと手を振って
たくさんの手の中に帰ろう

笑って。
さあ笑って。

+ + + + + + + + + +
いつも通りな、と念を押して学園近くの交差点で真弓と別れた。
ほんの十数分離れていただけの銀鎖が首にくすぐったい。


夜中の鎌倉はまだ涼しくて

祖霊の力を借りたとはいえ
完全に癒えたわけじゃない傷口に風がしみた。



イグニッションを解くのも忘れ、
ぼろぼろになった詠唱兵器の制服に構わず家への道のりをのんびりと歩く。



見慣れた景色
夜の匂い
カフェへの道筋


目を開ければ
世界はこんなに美しい



一体どれくらいの時間
目を瞑っていたんだろう



例えば大切な誰かの
好意を無視したり
傷つけたり…



謝らなきゃいけない相手がたくさん居る。

居るというだけで有難いことだから、と。



そう思いながらカフェへと続く大きな角を曲がった。



「……あれ」



夜目にもよくわかる黒紫色の髪が目に入った。



「神風!」


「あ、坤先輩…!」


こんなに早く会えるなんて。
嬉しさと照れ臭さの両方が相俟って、足を速めさせる。


「わわわ、ぼろぼろじゃないかっ。帰って早く休まないとダメだぞ?」


乾いた血糊、擦り傷だらけの(きっと階段から落ちた時の傷だ)足。
満身創痍というには大袈裟だけれど、心配の対象としては十二分な自分を見て
神風が心配そうに目を瞬かせた。


ずっと


この目に知らない振りをしていたんだな
私は。



気づけたことが嬉しくて
変わらない目をしてくれることがもっと嬉しくて


「あー…久し、ぶり。……はは」


本当はこんなこと
怖くて出来なかったはずなのに

気がついたら

生傷だらけの指は神風の綺麗な髪に伸びていて



「何だこれ、お前に会えてすごく嬉しいんだけど。
…あはは。」


くしゃくしゃ、と犬に接するように頭を撫で回す。

されるがままの神風は困ったように笑って受け入れてくれた。



「…うん、そっか。」


ちゃんと
聞いて

ちゃんと
見て

それだけのことがとても嬉しい



「お帰り、坤先輩。」



紅い瞳からはいつのまにか
心配の色が消えていて

それ以上言葉を交わすのは何だか意味の無いことのように思えて


たった一言



「ただいま。」



それで充分だよ、ね。
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プロフィール
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性別:
非公開
自己紹介:
■浦雪 坤(うらぶき こん)

1991年9月27日生 16歳
ゾンビハンター×月のエアライダー
高校1年9組



==
earthbound
━━ a. 地球に向かっている; 地表を離れられない[に限られた]; 世俗的な; 平凡な, 想像力のない.


■当ブログについて
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拙いアンオフィSSなどを書き散らすブログ。
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