5/28 めのまえ（2/2）

嘯いて
欺いて

こんなに近くに居るのに

遠いのは


私の所為だ。



それでも。




現実は残酷で慈悲に溢れていて
そしてとても痛い



殴られる痛みにも
溜まった膿を搾り出す痛みにも似ている。




「それ、決め付けてるだけだろ…！」



泣きそうな声が耳を刺し

矛盾した矜持に皹を入れる




ちがう





ちがうよ



だって変わるんだよ　人は簡単に




「変わって…無かったことになるなら
そないなもんに振り回されとうない！！！」





醜い内側を晒すだけでも痛いのに

一言、一言に返される辛そうな顔と




「もっと周り見てみいや！それ以上に、傍にいてくれる人がおるじゃにゃーか…っ！」




嘘の無い言葉が
痛いよ





……！


肩を掴まれる感覚に目を見開いて
そこでやっと知る




「あ……」




指の間に光る

失くした筈の親愛の証




「……周り」




包み込むような紅色
羨ましさと憧れで見ていた橙色

頼りなげなのにとても強い紫色
愛しい人にとても似た白色

いつも近くで笑っていた緑色
背中合わせの信頼を置いた桃色



思い出す、大事な人たち



でも
どうしてか分からない　けれど今知りたいのは



目の前の





「…お前は！？」


その痛みには
真実で答えよう


「周りやのうてお前はどうなんよ…！」


恐れずに。