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(株)トミーウォーカー運営PBW「シルバーレイン」のどこかでうろうろしている高校生 浦雪坤 の色々。
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それは事実。

目を逸らしてきた
ひとつの事実。

+ + + + + + + + + +

「あの後、あんたは直ぐ行ってもうたから分からんと思うけどな…」


元、と頭につけたほうが良いであろう自分の部屋に荷物を置いた後、一階の食堂に入る。

母が色々と察した顔で冷たい麦茶を淹れてくれていた。
黙って麦茶を一口飲み下し、問わず語りに乗る。

 


「二人で帰ってきたやろ、夕方。」


うん、と頷いて続きを待ったが、母はそこで言葉を止めたらしい。
私が何か言うのを待っているように。

 

「…あんたの話とぬいの話が、噛み合わんの。
ほんまは何があったん?」

 

「え…?」

 


噛み合わない。
母は何を言っているんだろう。
ぬいは何を言ったのだろう。

 


「あんたの話も俄かには信じられんかったけどな…」

 


母は小さく溜息をつき、ぬいが話したという一部始終を聞かせてくれた。

 


「二人で紫刻館の麓あたりまで行ってんやろ。
そんでチーズケーキ買うて、帰り道に公園寄ったと」

 

そこまでは私の話と合う。
肯定の意味で頷いた。

 

「で…天気が良かったから眠くなってもうたんやって、あの子。
おかしやろ、あの日はずっと曇っとってんやんか。」

 

……。

ひゅるり。


さっきから何度も体をすり抜ける軽い風が、また吹いた。

 


「怖い夢いっぱい見て目え覚めたら、お姉ちゃんが怖い顔してたって言いよるんよ」

「夢?それってあたしが喋ったような中身の夢か?」

「そや、あの子はあんたが喋ったことを夢やと思てる」

 


一つの言葉が頭の中を駆け巡った。

 


世界結界。

 


超常の力や出来事が目の前で否定される、矛盾の塊。

今しがた目の当たりにした冷たい空気を思い出し、思わず声が荒くなる。

 


「でも…夢て思てんならあんな風にならんやん!」


「続きがあんねん。」

 

 

続き、と聞いて体がぴくりと反応した。

この予感はきっと当たる。

 

 

「…目を覚ましてからな、お姉ちゃんに酷いことを沢山言われた、
ずっと大嫌いだったとか、二度と顔を見せるなとか…。」

 


頭がぐらりと揺れそうになる。

ぬいの為と嘯きながら刃にしてしまった沢山の事実、言葉を他人から突きつけられる痛み。

それも夢と思っていてくれれば、なんて甘い考えを一瞬でも持った自分が腹立たしい。

 


人一人の心を閉ざして

私の心を縛り付けて


それで世界を守ったつもりなのか?


こんなものが

守るべき世界の姿なのか?

 

 

 

忘却期なんて…

 

 

 


でも

 

これが能力者として生きるということなら

今度こそ全てを捨てられるよ

 

 

 

鉄火場にしか生きられないわけじゃない

幸せになりたいと思うことさえある

 

誰かが笑っているところを見るのは嬉しい

それが大好きな人たちなら尚更で

 

 


だから

 

 


一番近しい人に

ぬいに

 

否定されることから目を逸らしてはいけないよ

 


仕方ないじゃないか

 


世界はそういう風に出来ているんだから。

 

 

 

小さく微笑んだ。

嘘や誤魔化しなどでなく、心から。

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プロフィール
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非公開
自己紹介:
■浦雪 坤(うらぶき こん)

1991年9月27日生 16歳
ゾンビハンター×月のエアライダー
高校1年9組



==
earthbound
━━ a. 地球に向かっている; 地表を離れられない[に限られた]; 世俗的な; 平凡な, 想像力のない.


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