3/30 狂鬼戦争 その後（3/3）

（いつの間にかカウンターに突っ伏して）


…。


…ん…。



（見覚えのある上着と、毛布が肩にかかっているのを見て）



「あ、寝てもうた…。」

目をごしごしと擦り、ばきばきに固まった体を解そうと伸びをする。

上着と毛布がとすんと床に落ち、慌てて拾いにかかった。




…。

店長の上着だ。



…そういえば



そうだ。




＝＝

（ぼんやりと手繰り寄せる記憶。カウンターに座り、店長に話しかける映像が脳裏を過ぎる）




「店長。…おつかれ。
店長は大丈夫やってん、な。」




「店長、えらい強いし。　　　…かっこよかったで」




店長の前では、何かが決壊することも
押し込めてた言葉が出てくることもそれほど苦しく思わない。

何故だろう。




店長とは同じ戦場になれなかったし、
正直追いかけていたら自分が重傷を負ったであろう戦いぶりを後から聞き、
素敵だけれど怖い人だ　素直にそう思ったわけで。

それでだからかどうかは知らないけれど、




言いたいことが
店長にじゃなくて





「…あんな、　　　　　　に…ごめん言うといてもらっても…ええかな」





其処から先は眠くて覚えていない。

後で店長に話を聞こう。
…素直に教えてくれますように。




＝＝


店長の上着と毛布を丁寧に畳んでテーブルの上に置き、
戻るべき場所に戻ろうと自転車を走らせた。


体の節々が痛い。
こんなことなら温泉につかってくれば良かったと思い、
せめてゆっくり風呂に入ろうと帰り道のコンビニで入浴剤の高いやつを買ってマンションに帰った。


静かに正面玄関を開け、談話室のソファに腰掛ける。

まだ誰も帰っていない。



ルーフィス、ジゼルに春日崎。
皆戦場で会えなかったけれど、無事だろうか。



きっとあいつらも帰ったらこのテーブルに集まるだろう。



"ただいま
先に寝る

おかえり、
おつかれ。

浦雪"



小さなメモ用紙に走り書きをし、
よく見えるようにテーブルの真ん中に置いてよろよろと7階へと足を進めた。




…階段が辛い。



＝＝


（次の朝、談話室に下りて、メモ用紙に3人分の筆跡が増えたのを見つけ）



…ただいま。








狂鬼戦争　終了。

おつかれ。