2/20 引越し

依頼から帰ってきて、ふと思うことがあった。





部屋が狭い。

店長や江間から色々と貰いすぎるのが一因なのは分かっている。
断れないのは一体どうしたらいいんだ。




そう呟きながら、寮に向かって自転車を走らせる下校時。

いつもの通り道に、それはあった。




8階建てのシンプルなマンション。

思わず自転車を止めて、見上げる。



南向きに整然と並んだ窓を眺め、思うことがひとつ、ふたつ。




（引越し、しようかな…）



ふと、8階の窓で何かと目が合った気がした。




「…猫？」





目を凝らしたけれど、再び目を合わせることはかなわない。
諦めて地上に視線を戻した。


＿Ein Zweck


生徒手帳にマンションの名前をメモし、再び自転車を走らせる。



部屋が空いていると、いいな。